技術解説

PDLC と PNLC の違い

同じ「調光フィルム」という名前でも、電気を切ったときに不透明になるもの(PDLC)と、逆に透明になるもの(PNLC)があります。見た目のカタログ写真は似ていますが、停電したときの見え方も、電気を使う時間も逆になります。

結論

無通電(電源を切る・停電)通電
PDLC不透明透明
PNLC透明不透明

一般的によく使われているのは PDLC です。「調光フィルム」とだけ書かれている製品は PDLC であることが多く、そのつもりで設計を進めて問題になることは多くありません。ただし両方が流通している以上、どちらなのかを確認せずに決めてよい事柄ではありません。

なぜ逆になるのか

PDLC は、樹脂の中に液晶の粒が散らばった構造です。電圧をかけていないと粒の向きがばらばらで、光が散らばるため白く濁って見えます。電圧をかけると向きが揃い、光がまっすぐ通るので透明になります。つまり「透明でいるあいだ、ずっと電気を流している」状態です。

PNLC はこれと逆の振る舞いをするもので、リバースモードと呼ばれることもあります。無通電で透明、通電で不透明になります。

※ 呼び方と分類はメーカーによって差があります。実際の採否は、お使いになるフィルムの仕様書でご確認ください。

選ぶときに効いてくる3つの違い

1. 停電したときに、どちらの状態でいてほしいか

これが一番大きい違いです。電気が止まったときフィルムは選んだ型のほうへ勝手に戻ります。会議室や診察室のように「見られたくない」が優先される場所なら、停電で不透明になる PDLC が理にかなっています。逆に、避難経路や店舗の出入口まわりのように「暗いときこそ向こうが見えていてほしい」場所では、無通電で透明になる PNLC のほうが安全側です。後から入れ替えるにはフィルムごと貼り替えることになるので、ここは最初に決めておく事柄です。

2. どちらの状態でいる時間が長いか=電気を使う時間

透明でいるあいだ通電するのが PDLC、不透明でいるあいだ通電するのが PNLC です。1日のうち長いほうの状態が「無通電側」になるように選ぶと、通電している時間が短くなります。ふだんは透明にしておいて必要なときだけ隠す使い方なら PNLC のほうが通電時間は短く、逆にふだん隠しておきたい間仕切りなら PDLC のほうが短くなります。

3. 入手性

流通量が多いのは PDLC です。サイズ・厚み・色味の選択肢や、加工を頼める先の数もこちらのほうが多くなります。

どちらでもゾーン分割はできます

当社のコントローラは、各社のフィルムに合わせて出力を調整できる設計です。一般的な交流駆動の PDLC/PNLC 調光フィルムであればお使いいただけます(特殊な駆動条件を要する製品では適合しない場合があります)。1枚のガラスを複数のゾーンに分け、ゾーンごとに透明度を設定するマルチゾーン調光システムは、どちらの型でも成立します。

なお、駆動できる面積はフィルムの型ではなくフィルムの消費電力(W/m²)で決まります。目安は評価キットの概略仕様に表で載せています。

まとめ

  • 電気を切ったとき、PDLC は不透明、PNLC は透明になる
  • 停電時にどちらでいてほしいかで選ぶ。後から替えるには貼り替えが要る
  • 長くいるほうの状態を無通電側にすると、通電時間が短くなる
  • 流通量が多いのは PDLC
  • ゾーン分割はどちらでもできる。面積はフィルムの消費電力で決まる

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